
理事長河田悌一
3月11日に発生した東日本大震災は未曾有の大災害となり、大きな被害をもたらしました。被災された多くの皆様に、心からお見舞いを申し上げます。
今回の大災害、そしてその復興から改めて教訓として痛感させられたことは、物的資源に乏しい我が国の社会経済の発展を支えているのはまさしく人間力、人材であり、またその人材を育てる教育の重要性であります。
日本の私立学校は多くの園児・児童・生徒・学生を受け入れ、個性豊かで多様な教育活動を展開し、様々な能力をもつ有為で存在感のある人間を育てあげる――という人材育成において、きわめて重要な役割を果たしております。
しかし、少子化の進行や長引く不況など私学を取り巻く環境は厳しく、それらの影響は私学の経営や教育環境などに深刻なダメージを与えつつあります。
この厳しい状況を乗り切るため、それぞれの学校法人では、理事会、教職員が一体となって教育や研究の質を高め、あるいは地域との連携を深めることにより、積極的に経営改革、教育改革の努力をしておられることと存じます。
私ども私学事業団がおこなっている二大業務のうち「助成業務」では、私学に対する@資金的な援助、A情報提供・経営相談という二つの側面から、私学の支援に努めております。特に資金的援助は、平成23年度には約3,200億円の私立大学等経常費補助金交付事業、約800億円に及ぶ私学の施設・経営資金などに対する貸付事業を予定しておりましたところ、5月2日に震災対応のための「補正予算」が国会において成立。「私立大学等経常費補助金」については約162億円、貸付事業については災害復旧関連で約667億円の事業費が、新たに措置されました。
また、「共済業務」では、@短期給付事業、A長期給付事業、B福祉事業を運営しており、そのうちの長期給付事業では、平成22年度、私学の年金受給者に対して約2,700億円の年金を給付いたしました。
なお、今回の震災で被災された加入者に対する給付等につきましては、手続きを簡素化する等の対応をとっております。事業団としては引き続き、被災された私立学校及び加入者に対して全力で支援を行ってまいる所存でございます。
さらに、年金制度改革及び医療制度改革のあり方については、今後も状況をよく見極めて対応すると同時に、安定的な財政運営の確保を重点課題として、加入者のニーズに応えるため業務の効率的・効果的運営に努めてまいります。
平成20年7月に閣議決定された「教育振興基本計画」では、私学助成や経営相談・経営分析などの必要性が強調されており、震災からの復興も含め本事業団の果たすべき役割は、ますます大きくなっていると考えております。
私ども私学事業団は、今後とも日本の教育に貢献する「私立学校のための私学事業団」として、私学振興と私学共済の拠点となるべく努力を続ける所存であります。本年度も、皆様の大いなるご支援をお願い申し上げます。


