個人情報保護

日本私立学校振興・共済事業団における保有個人情報の開示、訂正及び利用停止に係る
審査基準

(平成17年3月31日理事長裁定)


 第1章 総則
第1 趣旨
 この基準は、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第59号。以下「保護法」という。)に規定する保有個人情報の開示、訂正及び利用停止について、日本私立学校振興・共済事業団(以下「事業団」という。)が行う決定等の審査基準を定めるものである。

 第2章 開示
第2 開示決定等の審査基準
 保護法第18条の規定に基づく開示又は不開示の決定(以下「開示決定等」という。)は、下記により行う。

1 開示する旨の決定(保護法第18条第1項)は、次のいずれかに該当する場合に行う。
(1) 開示請求に係る保有個人情報に不開示情報が記録されていない場合
(2) 開示請求に係る保有個人情報の一部に不開示情報が記録されている場合であって、当該不開示情報  

   が記録されている部分を容易に区分して除くことができるとき。ただし、この場合は、不開示情報が

   記録されている部分を除いて開示する。
(3) 開示請求に係る保有個人情報に不開示情報が記録されている場合であっても、個人の権利利益を保

   護するため特に当該保有個人情報を開示する必要があると認めるとき(保護法第16条)。

2 開示しない旨の決定(保護法第18条第2項)は、次のいずれかに該当する場合に行う。
(1) 開示請求書に保護法第13条第1項各号に規定する事項の記載の不備がある場合又は開示請求手数

   料が納付されていない場合。ただし、当該不備を補正することが可能と認められる場合は、原則とし

   て、開示請求者に補正を求めるものとする。
(2) 開示請求に係る保有個人情報を事業団において保有していない場合(開示請求者の求める個人情報

   が、保有個人情報に該当しない場合(独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成13

   年法律第140号。以下「情報公開法」という。)第2条第2項に規定する「法人文書」に記録され

   ていないもの)を含む。)
(3) 開示請求に係る保有個人情報がすべて不開示情報に該当する場合
(4) 開示請求に係る保有個人情報の一部に不開示情報が記録されている場合であって、当該不開示情報

   が記録されている部分と他の部分とを容易に区分して除くことができないとき。
(5) 開示請求に係る保有個人情報の存在の有無を明らかにするだけで、不開示情報を開示することにな

   る場合(保護法第17条)

3 前2項の判断に当たっては、保有個人情報に該当するかどうかの判断は「第3 保有個人情報該当性に

 関する判断基準」に、開示請求に係る保有個人情報が不開示情報に該当するかどうかの判断は「第4 不

 開示情報該当性の判断基準」に、部分開示をすべきかどうかの判断は「第5 部分開示に関する判断基

 準」に、裁量的開示をするべきかどうかの判断は「第6 裁量的開示に関する判断基準」に、保有個人情

 報の存否を明らかにせずに開示請求を拒否すべきかどうかの判断は「第7 保有個人情報の存否に関する

 情報に関する判断基準」に、それぞれよる。

第3 保有個人情報該当性に関する判断基準
 開示請求の対象が保護法第2条第3項に規定する保有個人情報に該当するかどうかの判断は、以下の基準により行う。

1 「独立行政法人等の役員又は職員が職務上作成し、又は取得した」とは、事業団の役員又は職員(以下 

 「役職員」という。)が当該役職員に割り当てられた仕事を遂行する立場で、すなわち公的立場において 

 作成し、又は取得したことをいう。

2 「組織的に利用する」とは、作成又は取得に関与した役職員個人の段階のものではなく、組織の業務上

 必要な情報として利用されることをいう。

3 「独立行政法人等が保有している」とは、情報公開法における法人文書の概念と同様である。すなわ

 ち、当該個人情報について事実上支配している(当該個人情報の利用、提供、廃棄等の取扱いについて判

 断する権限を有している)状態をいう。したがって、個人情報が記録されている媒体を書庫等で保管し、

 又は倉庫業者等をして保管させている場合も含まれる。

4 「法人文書に記録されているものに限る」
  役職員が単に記録しているにすぎない個人情報は、保有個人情報に該当しない。また、情報公開法は、

 官報、白書、新聞、雑誌、書籍その他不特定多数のものに販売することを目的として発行されるもの等を

 法人文書の定義から除いているが、これらに記録されている個人情報も、保有個人情報に該当しないこと

 になる。

第4 不開示情報該当性に関する判断基準
 開示請求に係る保有個人情報が不開示情報に該当するかどうかの判断は、以下の基準により行う。

1 本人の生命、健康、生活又は財産を害するおそれがある情報(保護法第14条第1号)
 開示請求制度は、本人に対して当該本人に関する保有個人情報を開示するものであり、通例は本人の権利利益を害するおそれはないものと考えられる。しかし、開示が必ずしも本人の利益にならない場合もあり得ることから、そのような場合には不開示とすることができるようにしておく必要がある。

2 開示請求者以外の個人に関する情報(保護法第14条第2号本文)
 開示請求に係る個人情報の中に、本人以外の第三者(個人)の情報が含まれている場合があるが、第三者に関する情報を本人に開示することにより当該第三者の権利利益が損なわれるおそれがあることから、第三者に関する情報は不開示情報とする。
 なお、「個人に関する情報」は、「個人情報」とは異なるものであり、生存する個人に関する情報のほか、死亡した個人に関する情報も含まれる。

(1)「(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)」
 「事業を営む個人の当該事業に関する情報」は、個人に関する情報に含まれるが、当該事業に関する情報であるので、法人等に関係する情報と同様の要件により不開示情報該当性を判断することが適当である。

(2)「当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により開示請求者以外の特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、開示請求者以外の特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)」
 ア 「その他の記述」とは、氏名及び生年月日以外の記述又は個人別に付された番号その他の符号等をい 

  う。映像や音声も、それによって特定の個人を識別することができる限りにおいて「その他の記述等」

  に含まれる。
 イ 「特定の個人を識別できる」とは、当該情報の本人である特定の個人が誰であるかを識別することが

  できることをいう。
 ウ 「他の情報」には、その保有者が他の機関である場合も含まれ、また、公知の情報や、図書館等の公

  共施設で一般に入手可能なものなど一般人が通常入手し得る情報が含まれる。

(3)「開示請求者以外の特定の個人を識別することはできないが、開示することにより、なお開示請求者

  以外の個人の権利利益を害するおそれがあるもの」

 独立行政法人等の保有する個人に関する情報の中には、匿名の作文や、無記名の個人の著作物のように、個人の人格と密接に関連したり、開示すれば財産権その他の個人の正当な利益を害するおそれがあると認められるものがあることから、特定の個人を識別できない場合であっても、開示することにより、なお個人の権利利益を害するおそれがある場合について、不開示情報とする。

(4)法令の規定により又は慣行として開示請求者が知ることができ、又は知ることが予定されている情報

 (保護法第14条第2号ただし書イ)

 ア 「法令の規定により開示請求者が知ることができる情報」
  「法令の規定」には、何人に対しても等しく当該情報を開示すること又は公にすることを定めている規

 定のほか、特定の範囲の者に限り当該情報を開示することを定めている規定が含まれる。

 イ 「慣行として開示請求者が知ることができる情報」
  慣習法としての法規範的根拠を要するものではなく、事実上の慣習として知ることができ、又は知るこ

 とが予定されていることで足りる。
  当該保有個人情報と同種の情報について、本人が知ることができた事例があったとしても、それが個別

 的な事例にとどまる限り「慣行として」には当たらない。また、情報公開法第5条第1号イの「慣行とし 

 て公にされ」ている情報は、慣行として開示請求者が知ることができる情報に含まれる。
 「慣行として開示請求者が知ることができる情報」に該当するものとしては、請求者の家族構成に関する

 情報(妻子の名前や年齢、職業等)等が考えられる。

 ウ 「知ることが予定されている情報」
  実際には知らされていないが、将来的に知らされることが予定されている場合である。「予定」とは、

 将来知らされることが具体的に決定されていることは要しないが、当該情報の性質、利用目的等に照らし

 て通例知らされるべきものと考えられることをいう。

(5)人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、開示することが必要であると認められる情報(保

  護法第14条第2号ただし書ロ)
 不開示情報該当性の判断に当たっては、当該情報を不開示にすることの利益と開示することの利益との調和を図ることが重要であり、開示請求者以外の個人に関する情報について、不開示にすることにより保護される開示請求者以外の個人の権利利益よりも、開示請求者を含む人の生命、健康等の利益を保護することの必要性が上回るときには、当該情報を開示しなければならない。現実に、人の生命、健康等に被害が発生している場合に限らず、将来これが侵害される蓋然性の高い場合も含まれる。この比較衡量に当たっては、個人の権利利益には様々なものがあり、また、人の生命、健康、生活又は財産の保護についても、保護すべき権利利益の程度に差があることから、個別の事案に応じた慎重な検討を行うものとする。

(6)公務員等の職及び職務の遂行に係る情報(保護法第14条第2号ただし書ハ)
 ア 「当該情報がその職務の遂行に係る情報であるとき」
  「職務の遂行に係る情報」とは、公務員等が国の機関、独立行政法人等又は地方公共団体の一員とし

 て、その担任する職務を遂行する場合における当該活動についての情報を意味する。例えば、苦情相談に

 対する担当職員の対応内容に関する情報などがこれに含まれる。

 イ 「当該情報のうち、当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分」
  公務員等の職及び職務の遂行に関する情報には、当該公務員等の氏名、職名及び職務遂行の内容によっ

 て構成されるものが少なくない。このうち、その職名と職務遂行の内容について、情報公開法では、不開

 示としないこととされているが、保護法においても、同様に不開示とはしない。
  公務員等の職務遂行に係る情報に含まれる当該公務員等の氏名については、開示した場合、公務員等の

 私生活等に影響を及ぼすおそれがあり得ることから、私人の場合と同様に個人情報として保護に値すると

 位置付けた上で、本号イに該当する場合には例外的に開示することとなる。
  人事異動の官報への掲載その他行政機関又は独立行政法人等により職名と氏名とを公表する慣行がある

 場合や、行政機関又は独立行政法人等により作成され、又は行政機関若しくは独立行政法人等が公にする

 意思をもって(あるいは公にされることを前提に)提供した情報を基に作成され、現に一般に販売されて

 いる職員録に職と氏名とが掲載されている場合には、「慣行として開示請求者が知ることができ、又は知

 ることが予定されている」場合に該当する。

3 法人その他の団体に関する情報又は開示請求者以外の事業を営む個人の当該事業に関する情報(保護法

  第14条第3号)
(1)法人その他の団体に関する情報又は開示請求者以外の事業を営む個人の当該事業に関する情報(保護

  法第14条第3号本文)
 ア 学校法人、株式会社等の商法上の会社、財団法人、社団法人、宗教法人等の民間の法人のほか、政治

  団体、外国法人や法人ではないが権利能力なき社団等も含まれる。

 イ「法人その他の団体に関する情報」は、法人等の組織や事業に関する情報のほか、法人等の権利利益に

  関する情報等法人等と何らかの関連性を有する情報を示す。なお、法人等の構成員に関する情報は、法

  人等に関する情報であると同時に、構成員各個人に関する情報でもある。

(2)開示請求者以外の事業を営む個人の当該事業に関する情報(保護法第14条第3号本文)「事業を営

  む個人の当該事業に関する情報」は、事業に関する情報であるので、法人等に関する情報と同様の要件

  により、事業を営む上での正当な利益等について不開示情報該当性を判断する。

(3)人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報(保護

  法第14条第3号ただし書)

 当該情報を不開示にすることによって保護される法人等又は事業を営む個人の権利利益と、これを開示することにより保護される人の生命、健康等の利益とを比較衡量し、後者の利益を保護することの必要性が上回るときには、当該情報を開示しなければならない。現実に人の生命、健康等に被害が発生している場合に限らず、将来これらが侵害される蓋然性が高い場合も含まれる。なお、法人等又は事業を営む個人の事業活動と人の生命、健康等に対する危害等との明確な因果関係が確認されなくても、現実に人の生命、健康等に対する被害等の発生が予想される場合もあり得る。

(4)当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの(保護法

   第14条第3号イ)

 ア「権利」には、信教の自由、集会・結社の自由、学問の自由、財産権等法的保護に値する権利一切を含

  む。
 「競争上の地位」とは、法人等又は事業を営む個人の公正な競争関係における地位を指す。
 「その他正当な利益」には、ノウハウ、信用等法人等又は事業を営む個人の運営上の地位を広く含む。

 イ「害するおそれ」があるかどうかの判断に当たっては、法人等又は事業を営む個人には様々な種類、性

 格のものがあり、その権利利益にも様々のものがあるので、法人等又は事業を営む個人の性格や権利利益

 の内容、性質等に応じ、当該法人等又は事業を営む個人の権利の保護の必要性、当該法人等又は事業を営

 む個人と行政との関係等を十分考慮して適切に判断する必要がある。なお、この「おそれ」の判断に当た

 っては、単なる確率的な可能性ではなく、法的保護に値する蓋然性が求められる。

(5)任意に提供された情報(保護法第14条第3号ロ)
  法人等又は事業を営む個人から開示しないとの条件の下に任意に提供された情報については、当該条件

 が合理的なものと認められる限り、不開示情報として保護しようとするものであり、情報提供者の信頼と

 期待を基本的に保護しようとするものである。なお、事業団の情報収集能力の保護は、保護法第14条第

 5号等の規定によって判断する。

 ア「独立行政法人等の要請を受けて、開示しないとの条件で任意に提供された情報」
 独立行政法人等の要請を受けずに、法人等又は事業を営む個人から提供された情報は含まれない。ただし、独立行政法人等の要請を受けずに、法人等又は事業を営む個人から提供申出があった情報であっても、提供に先立ち、法人等又は事業を営む個人の側から開示しないとの条件が提示され、独立行政法人等が合理的理由があるとしてこれを受諾した上で提供を受けた場合は、含まれる。
 「独立行政法人等の要請」には、法令に基づく報告又は提出の命令は含まないが、独立行政法人等が報告徴収権限を有する場合でも、当該権限を行使することなく、任意に提出を求めた場合は含まれる。
 「開示しない」とは、開示請求者に対して開示しないことはもちろんであるが、第三者に対して当該情報を提供しないという意味である。また、特定の目的以外の目的には使用しないとの条件で情報の提供を受ける場合も通常含まれる。
 「条件」については、独立行政法人等の側から開示しないとの条件で情報を提供してほしいと申し入れる場合も、法人等又は事業を営む個人の側から開示しないで申し出る場合も含まれるが、いずれにしても双方の合意により成立する。
 また、条件を設ける方法については、黙示的なものを排除する趣旨ではない。

 イ「法人等又は個人における通例として開示しないこととされているものその他の当該条件を付すること

 が当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるもの」
  「法人等又は個人における通例」とは、当該法人等又は個人の個別具体的な事情ではなく、当該法人等

 又は個人が属する業界における通常の取扱いを意味し、当該法人等又は個人において開示していないこと

 としていることだけでは足りない。
  開示しないとの条件を付することの合理性の判断に当たっては、情報の性質に応じ、当該情報の提供当

 時の諸般の事情を考慮して判断するが、必要に応じ、その後の変化も考慮する。開示しないとの条件が付

 されていても、現に当該情報が公になっていたり、同種の情報が既に開示されているなどの事情がある場

 合には、本号には当たらない。

4 審議、検討又は協議に関する情報(保護法第14条第4号)
 (1)「国の機関」とは、国会、内閣、裁判所及び会計検査院並びにこれらに属する機関を示す。これら

   の国の機関、独立行政法人等、地方公共団体及び地方立行政法人(国の機関等)について、それぞれ

   の機関の内部又は他の機関との相互間における審議、検討又は協議に関する情報が対象となる。

 (2)「率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ」とは、開示することに

   より、外部からの圧力や干渉等の影響を受けることなどにより、率直な意見の交換若しくは意思決定

   の中立性が不当に損なわれるおそれがある場合が想定されているものであり、適正な意思決定手続の

   確保を保護利益とするものである。

 (3)「不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれ」とは、未成熟な情報や事実関係の確認が不十分な情

   報などを開示することにより、誤解や憶測を招き、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれがある

   場合をいう。適正な意思決定を行うことそのものを保護するのではなく、情報が開示されることによ

   る国民への不当な影響が生じないようにする趣旨である。

 (4)「特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれ」とは、尚早な時期に、あるいは事

   実関係の確認が不十分なままで情報を開示することにより、不正な投機を助長するなどして、特定の

   者に不当に利益を与え又は不利益を及ぼす場合を想定したもので、事務及び事業の公正な遂行を図る

   とともに、国民への不当な影響が生じないようにする趣旨である。

 (5)「不当に」とは、審議、検討等途中の段階の情報を開示することの必要性を考慮してもなお、適正

   な意思決定の確保等への支障が看過し得ない程度のものを意味する。予想される支障が「不当」なも

   のかどうかの判断は、当該情報の性質に照らし、開示することによる利益と不開示にすることによる

   利益とを比較衡量した上で判断する。

 (6)国の機関、独立行政法人等又は地方公共団体としての意思決定が行われた後は、一般的には、当該

   意思決定そのものに影響が及ぶことはなくなることから、不開示情報に該当する場合は少なくなるも

   のと考えられるが、当該意思決定が全体として一つの政策決定の一部の構成要素であったり、当該意

   思決定を前提として次の意思決定が行われる等審議、検討等の過程が重層的、連続的な場合には、当

   該意思決定後であっても、政策全体の意思決定又は次の意思決定に関して保護法第14条第4号に該

   当するかどうかの検討が行われるものであることに注意する必要がある。また、審議、検討等が終了

   し、意思決定が行われた後であっても、当該審議、検討等に関する情報が開示されると、国民の間に

   混乱を生じさせたり、将来予定されている同種の審議、検討等に係る意思決定に不当な影響を与える

   おそれがあれば、本号に該当し得る。

5 事務又は事業に関する情報(保護法第14条第5号)
 (1)「次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及

   ぼすおそれがあるもの」

 ア 「次に掲げるおそれ」
 「次に掲げるおそれ」としてイからトまでに掲げたものは、各機関共通的にみられる事務又は事業に関する情報であって、その性質上、開示することによって、その適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると考えられる典型的な支障を挙げたものである。これらの事務又は事業の外にも、同種のものが反復されるような性質の事務又は事業であって、ある個別の事務又は事業に関する情報を開示すると、将来の同種の事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの等、「その他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」があり得る。

 イ 「当該事務又は事業の性質上、適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」
 当該事務又は事業の本質的な性格、具体的には、当該事務又は事業の目的、その目的達成のための手法等に照らして、その適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるかどうかを判断するとの趣旨である。

 (2)「国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若

   しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれ」(保護法第14条第5号イ)

 ア 「国の安全」とは、国家の構成要素である国土、国民及び統治体制が害されることなく平和で平穏な

  状態に保たれていること、すなわち、国としての基本的な秩序が平穏に維持されている状態をいう。具

  体的には、直接侵略及び間接侵略に対し、独立と平和が守られていること、国民の生命が国外からの脅

  威等から保護されていること、国の存立基盤としての基本的な政治方式及び経済・社会秩序の安定が保

  たれていることなどが考えられる。
   「国の安全が害されるおそれ」とは、これらの国の重大な利益に対する侵害のおそれ(当該重大な利

  益を維持するための手段の有効性を阻害され、国の安全が害されるおそれがあると考えられる場合を含

  む。)をいう。

 イ 「他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ」とは、「他国若しくは国際機関」(我が

  国が承認していない地域、政府機関その他これらに準ずるもの(各国の中央銀行等)、外国の地方政府

  又は国際会議その他国際協調の枠組みに係る組織等(アジア太平洋経済協力会議、国際刑事警察機構

  等)の事務局等を含む。以下「他国等」という。)との間で、相互の信頼に基づき保たれている正常な

  関係に支障を及ぼすおそれをいう。例えば、公にすることにより、他国等との取決め又は国際慣行に反

  することとなるもの、他国等の意思に一方的に反することとなるもの、他国等に不当に不利益を与える

  こととなるもの等、我が国との関係に悪影響を及ぼすおそれがある情報が該当する。

 ウ 「他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれ」とは、他国等との現在進行中の又は将来予

  想される交渉において、我が国が望む交渉成果が得られなくなる、我が国の交渉上の地位が低下する等

  のおそれをいう。例えば、国際会議における対処方針等交渉(過去のものを含む。)に関する情報であ

  って、公にすることにより、現在進行中の又は将来予想される交渉に関して我が国が採ろうとしている

  立場が明らかにされ、又は具体的に推測されることになり、交渉上の不利益を被るおそれがある情報が

  該当する。

 (3)「犯罪の予防、鎮圧又は捜査その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれ」(保護法 

    第14条第5号ロ)

 ア 「犯罪の予防」とは、犯罪の発生を未然に防止することをいう。したがって、国民の防犯意識の啓

  発、防犯資機材の普及等、一般に公にしても犯罪を誘発し、又は犯罪の実行を容易にするおそれがない

  防犯活動に関する情報は、含まれない。犯罪の「鎮圧」とは、犯罪が正に発生しようとするのを未然に

  防止し、又は犯罪が発生した後において、その拡大を防止し、若しくは終息させることをいう。犯罪の

  「捜査」とは、捜査機関が犯罪があると思料するときに、公訴の提起(検察官が裁判所に対し、特定の

  刑事事件について審判を求める意思表示をすることを内容とする訴訟行為をいう。)等のために犯人及

  び証拠を発見、収集又は保全することをいう。

 イ 「公共の安全と秩序の維持」とは、犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持及び刑の執行に代表され

  る刑事法の執行を中心としたものを意味する。刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)以外の特別法

  により、臨検、捜索、差押え、告発等が規定され、犯罪の予防・捜査とも関連し、刑事司法手続に準ず

  るものと考えられる犯則事件の調査、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法

  律第54号)違反の調査等や、犯罪の予防・捜査に密接に関連する破壊的団体(無差別大量殺人行為を

  行った団体を含む。)の規制、暴力団員による不当な行為の防止、つきまとい等の規制、強制退去手続

  に関する情報であって、公にすることにより、公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあるも

  のは、個人情報保護法第14条第5号のロに含まれる。
   また、公にすることにより、テロ等の人の生命、身体、財産等への不法な侵害や、特定の建造物又は

  システムへの不法な侵入又は破壊を招くおそれがあるなど、犯罪を誘発し、又は犯罪の実行を容易にす

  るおそれがある情報も、保護法第14条第5号のロに含まれる。

 (4)「監査、検査、取締り又は試験に係る事務に関し、正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法

   若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれ」(保護法第14条第5号

   ハ)

 ア 「監査」とは、主として監察的見地から、事務又は事業の執行及び財産の状況の正否を調べることを

  いう。
 

   「検査」とは、法令の執行確保、会計経理の適正確保、物資の規格、等級の証明等のために帳簿書類

  その他の物件等を調べることをいう。
 

   「取締り」とは、行政上の目的による一定の行為の禁止、又は制限について適法、適正な状態を確保

  することをいう。
 

   「試験」とは、人の知識、能力等又は物の性能等を試すことをいう。
 

   「租税」には、国税、地方税がある。「賦課」とは、国又は地方公共団体が、公租公課を特定の人に

  割り当てて負担させることをいい、「徴収」とは、国又は地方公共団体が、租税その他の収入金を取る

  ことをいう。

 イ 「適正な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見

  を困難にするおそれ」
 

   監査等の事務は、いずれも事実を正確に把握し、その事実に基づいて評価、判断を加えて、一定の決

  定を伴うことがある事務である。
   これらの事務に関する情報の中には、例えば、監査等の対象、実施時期、調査事項等の詳細な情報の

  ように、事前に開示にすると、適正かつ公正な評価や判断の前提となる事実の把握が困難となったり、

  行政客体における法令違反行為又は法令違反に至らないまでも妥当性を欠く行為を助長したり、巧妙に

  行うことにより隠蔽をするなどのおそれがあるものがあり、このような情報については、不開示とす

  る。また、事後であっても、例えば、違反事例等の詳細についてこれを開示すると今後の法規制を免れ

  る方法を示唆することになるようなものは該当し得ると考えられる。

 (5)「契約、交渉又は争訟に係る事務に関し、国、独立行政法人等又は地方公共団体の財産上の利益又

   は当事者としての地位を不当に害するおそれ」(保護法第14条第5号ニ)

 ア 「契約、交渉又は争訟」
 

  「契約」とは、相手方との意思表示の合致により法律行為を成立させることをいう。
  「交渉」とは、当事者が、対等の立場において相互の利害関係事項に関し一定の結論を得るために協

 議、調整などの折衝を行うことをいう。
  「争訟」とは、訴えを起こして争うことをいう。訴訟、行政不服審査法に基づく不服申立てその他の法

 令に基づく不服申立てがある。

 イ 「国、独立行政法人等又は地方公共団体の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそ

    れ」
 

  国、独立行政法人等又は地方公共団体が一方の当事者となる上記の契約等においては、自己の意思によ

 り又は訴訟手続上、相手方と対等な立場で遂行する必要があり、当事者としての利益を保護する必要があ

 る。
  これらの契約等に関する情報の中には、例えば、用地取得等の交渉方針や用地買収計画案を開示するこ

 とにより、適正な額での契約が困難になり財産上の利益が損なわれたり、交渉、争訟等の対処方針等を開

 示することにより、当事者として認められるべき地位を不当に害するおそれがあるものがあり、このよう

 な情報は、不開示とする。

 (6)「調査研究に係る事務に関し、その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれ」(保護法第1

     4条第5号ホ)
  国の機関等が行う調査研究(ある事柄を調べ、真理を探究すること)の成果については、社会、国民等

 にあまねく還元することが原則であるが、成果を上げるためには、従事する職員が、その発想、創意工夫

 等を最大限に発揮できるようにすることも重要である。
  調査研究に係る事務に関する情報の中には、例えば、@知的所有権に関する情報、調査研究の途中段階

 の情報などで、一定の期日以前に開示することにより成果を適正に広く国民に提供する目的を損ね、特定

 の者に不当な利益や不利益を及ぼすおそれのあるもの、A試行錯誤の段階の情報で、開示することによ

 り、自由な発想、創意工夫や研究意欲が不当に妨げられ、減退するなど、能率的な遂行を不当に阻害する

 おそれがあるものがあり、このような情報を不開示とする。

 (7)「人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ」(保護法第14

    条第5号ヘ)
  国の機関等が行う人事管理(職員の任免、懲戒、給与、研修その他職員の身分や能力等の管理に関する

 こと)に係る事務は、当該機関の組織としての維持の観点から行われ、一定の範囲で当該機関の自律性を

 有するものである。人事管理に係る事務に関する情報の中には、例えば、勤務評価や人事異動、昇格等の

 人事構想等を開示することにより、公正かつ円滑な人事の確保が困難になるおそれがあるものがあり、こ

 のような情報は不開示とする。

 (8)「国若しくは地方公共団体が経営する企業又は独立行政法人等に係る事業に関し、その企業経営上

   の正当な利益を害するおそれ」(保護法第14条第5号ト)
  国若しくは地方公共団体が経営する企業、独立行政法人等に係る事業に関連する情報については、企業 

 経営という事業の性質上、保護法第14条第3号の法人等に関する情報と同様な考え方で、企業経営上の

 正当な利益を保護する必要があり、これを害するおそれがあるものを不開示とする。ただし、正当な利益

 の内容については、経営主体、事業の性格、内容等に応じて判断する必要があり、情報の不開示の範囲は

 同号の法人等とは当然異なり、より狭いものとなる場合があり得ることに留意する。


第5 部分開示に関する判断基準
 開示請求に係る保有個人情報について、保護法第15条に基づき部分開示をすべき場合に該当するかどうかの判断は、以下の基準により行う。

1 不開示情報が含まれている場合の部分開示(保護法第15条第1項)

(1) 「開示請求に係る保有個人情報に不開示情報が含まれている場合」
 開示請求について審査した結果、開示請求に係る保有個人情報に、不開示情報に該当する情報が含まれている場合を意味する。
 保護法第14条では、保有個人情報に全く不開示情報が含まれていない場合の開示義務を定めているが、保護法第15条第1項の規定により、独立行政法人等は、開示請求に係る保有個人情報に不開示情報が含まれている場合に、部分的に開示できるか否かの判断を行わなければならない。

(2) 「容易に区分して除くことができるとき」

ア 当該保有個人情報のどの部分が不開示情報に該当するかという区分けが困難な場合だけでなく、区分けは容易であるがその部分の分離が技術的に困難な場合も部分開示の義務がないことを明らかにしたものである。
 「区分」とは、不開示情報に該当する部分とそれ以外の部分とを概念上区分けすることを意味し、「除く」とは、不開示情報に該当する部分を、当該部分の内容が分からないように黒塗り、被覆等を行うなど、加工することにより、情報の内容を消滅させることをいう。

イ 保有個人情報に含まれる不開示情報を除くことは、当該保有個人情報が文書に記録されている場合、文書の複写物に墨を塗り再複写するなどして行うことができ、一般的には容易であると考えられる。
 一方、録音テープ、ビデオテープ、磁気ディスクに記録された保有個人情報については、区分して除くことの容易性が問題となる。例えば、複数の人の発言が同時に録音されているが、そのうち一人から開示請求があった場合や、録画されている映像中に開示請求者以外の者が映っている場合などがあり得る。このような場合には、不開示情報を容易に区分して除くことができる範囲で、開示すべき部分を決定することになる。
 なお、電磁的記録に記録された保有個人情報については、紙に出力した上で、不開示情報を区分して除いて開示することも考えられる。電磁的記録をそのまま開示することを求められた場合は、不開示情報のみを削除することの技術的可能性等を総合的に判断する必要がある。既存のプログラムで行うことができない場合は、「容易に区分して除くことができるとき」に該当しない。

(3) 「該当部分を除いた部分につき開示しなければならない」
 本項は、義務的に開示すべき範囲を定めるものである。なお、部分開示の実施に当たり、具体的な記述をどのように削除するかについては、独立行政法人等の目的に沿った合目的的な判断に委ねられている。すなわち、不開示情報の記録部分の全体を完全に黒く塗るか、文字が判読できない程度に被覆するか、当該記録中の主要な部分だけ塗り潰すかなどの方法の選択は、不開示情報を開示する結果とならない範囲内において、当該方法を講ずることの容易さ等を考慮して判断することになる。その結果、観念的には一まとまりの不開示情報を構成する一部が開示されることになるとしても、実質的に不開示情報が開示されたと認められないのであれば、独立行政法人等の不開示義務に反するものではない。

2 個人識別性の除去による部分開示(保護法第15条第2項)

(1) 「開示請求に係る保有個人情報に前条第2号の情報(開示請求者以外の特定の個人情報を識別することができるものに限る。)が含まれている場合」

ア 保護法第15条第1項の規定は、保有個人情報のうち、不開示情報でない部分の開示義務を規定しているが、不開示情報のうち一部を特に削除することにより不開示情報の残りの部分を開示することの根拠規定とはならない。
 個人識別情報は、通例は特定の個人を識別可能とする情報と当該個人の属性情報からなる「一まとまり」の情報の集合物であり、他の不開示情報の類型が各号に定められた「おそれ」を生じさせる範囲で不開示情報の範囲を画することができるのとは、その範囲の捉え方を異にする。このため、保護法第15条第1項の規定だけでは、個人識別情報については全体として不開示となることから、氏名等の部分だけを削除して残りの部分を開示しても個人の権利利益保護の観点から支障が生じないときには、部分開示とする。

イ 「開示請求者以外の特定の個人を識別することができるものに限る」とは、「特定の個人を識別することはできないが、開示することにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの」(保護法第14条第2号の後半部分)については、特定の個人を識別することとなる記述等の部分を除くことにはならないことを意味する。

(2) 「当該情報のうち、氏名、生年月日その他の開示請求者以外の特定の個人を識別することができることとなる記述等を除くことにより、開示しても、開示請求者以外の個人の権利利益が害されるおそれがないと認められるとき」
 個人を識別させる要素を除去し誰の情報であるかが分からなくなっても、開示することが不適当であると認められる場合もある。例えば、作文などの個人の人格と密接に関連する情報や、個人の未発表の論文等開示すると個人の正当な権利利益を害するおそれがあるものも想定される。
 このため、個人を識別させる部分を除いた部分について、開示しても個人の権利利益を害するおそれがないものに限り、部分開示の規定を適用する。

(3) 「当該部分を除いた部分は、同号の情報に含まれないものとみなして、前項の規定を適用する」
 この規定により、個人識別情報のうち、特定の個人を識別することができることとなる記述等以外の部分は、個人の権利利益を害するおそれがない限り、保護法第14条第2号に規定する不開示情報ではないものとして取り扱われることになり、第1項の部分開示の規定が適用される。このため、他の不開示情報の規定に該当しない限り、当該部分は開示されることになる。
 また、第1項の規定を適用する要素とそれ以外の部分とを容易に区分して除くことができない場合は、当該個人に関する情報は全体として不開示となる。



第6 裁量的開示に関する判断基準

 開示請求に係る保有個人情報について保護法第16条に基づき裁量的開示をすべき場合に該当するかどうかの判断は、以下の基準により行う。

1 保護法第14条各号の不開示情報に該当する情報であっても、個人の権利利益を保護するため特に必要があると認めるときは、行政機関の長の高度の行政的な判断により、開示することができる。

2 保護法第14条各号においても、当該規定により保護する利益と当該情報を開示することによる利益の比較衡量が行われる場合があるが、保護法第16条は、保護法第14条の規定が適用され不開示となる場合であっても、なお開示する必要性があると認められる場合には、開示することができる。



第7 保有個人情報の存否に関する情報に関する判断基準

開示請求に対し、当該開示請求に係る保有個人情報の存否を明らかにしないで当該開示請求を拒否すべき場合(保護法第17条)に該当するかどうかの判断は、以下の基準により行う。

1 「開示請求に係る保有個人情報が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなるとき」

開示請求に係る保有個人情報が実際にあるかないかにかかわらず、開示請求された保有個人情報の存否について回答すれば、不開示情報を開示することとなる場合をいう。開示請求に含まれる情報と不開示情報該当性が結合することにより、当該保有個人情報の存否を回答できない場合もある。


2 「当該保有個人情報の存否を明らかにしないで、当該開示請求を拒否することができる」

保有個人情報の存否を明らかにしないで開示請求を拒否する決定も、申請に対する処分であることから、行政手続法第8条に基づき処分の理由を示す必要がある。提示すべき理由の程度としては、開示請求者が拒否の理由を明確に認識し得るものであることが必要であると考えられる。また、個別具体的な理由提示の程度については、当該情報の性質、内容、開示請求書の記載内容等を踏まえ、請求のあった保有個人情報の存否を答えることにより、どのような不開示情報を開示することになるかをできる限り具体的に提示することになる。

また、存否を明らかにしないで拒否することが必要な類型の情報については、常に存否を明らかにしないで拒否することが必要であり、例えば、保有個人情報が存在しない場合に不存在と答えて、保有個人情報が存在する場合にのみ存否を明らかにしないで拒否したのでは、開示請求者に当該保有個人情報の存在を類推させることになる。

第3章 訂正
第8 訂正決定等の審査基準

保護法第30条の規定に基づく訂正又は不訂正の決定(以下「訂正決定等」という。)は、下記により行う。

1 訂正する旨の決定(保護法第30条第1項)

訂正請求に理由があると事業団が認める場合

2 訂正しない旨の決定(保護法第30条第2項)

(1) 訂正請求書に保護法第28条第1項各号に規定する事項の記載の不備がある場合。ただし、当該不備を補正することができると認められる場合には、原則として、その補正を求めるものとする。

(2) 訂正請求に係る保有個人情報が利用目的の達成に必要な範囲以外の場合



第9 訂正請求に関する判断基準

保護法第27条の規定に基づく訂正請求権に該当するかどうかの判断は、以下の基準により行う。

1 訂正請求権(保護法第27条第1項)

(1) 「自己を本人とする保有個人情報(次に掲げるものに限る。)」
 保護法の訂正請求者の対象は、自己を本人とする保有個人情報すべてではなく、保護法等の開示決定により自己を本人とする保有個人情報として開示を受ける範囲が確定された次のものに限る。

ア 「開示請求に基づき開示を受けた保有個人情報」(保護法第27条第1項第1号)
 事業団が行った開示決定に基づき開示を受けた保有個人情報をいう。

イ 「第22条第1項の規定により事案が移送された場合において、行政機関個人情報保護法第21条第3項に規定する開示決定に基づき開示を受けた保有個人情報」(保護法第27条第1項第2号)
 事業団から事案の移送を受けた行政機関が行った開示決定に基づき開示を受けた保有個人情報をいう。

ウ 「開示決定に係る保有個人情報であって、第25条第1項の他の法令の規定により開示を受けたもの」(保護法第27条第3号)
 保護法の開示決定に係わるものであれば、他の法令の規定により開示を受けたものであっても、開示を受けた範囲は確定していることから対象にする。

(2) 「内容が事実でないと思料するとき」
 保護法第27条は、保護法第6条の「正確性の確保」の趣旨を実効あらしめようとするものであることから、訂正請求をすることができるのは、「内容が事実でないときと思料するとき」に限られる。

※ 「評価」に関する情報の取扱いについて
 訂正は、保有個人情報の「内容が事実でない」場合に行われるものであり、保護法第27条に基づく訂正請求の対象は「事実」であって、評価・判断には及ばない。このため、評価・判断の内容そのものについての訂正請求があった場合には、訂正をしない旨の決定をすることとなる。保護法における訂正請求のねらいは、保有個人情報の内容の正確性を向上させることにより、誤った個人情報の利用に基づき誤った評価・判断が行われることを防止しようとするものであるが、評価・判断は個人情報の内容だけでなく、様々な要素を勘案してなされるものであるから、訂正請求は独立行政法人等の判断を直接的に是正することにまで及ぶものではない。ただし、評価した行為の有無、評価に用いられたデータ等は事実に当たる。

(3) 「保有個人情報の訂正(追加又は削除を含む。)」
 訂正には、追加又は削除を含む。具体的には、情報の誤りを正しくすること、情報が古くなって事実と異なる場合にそれを新しくすること、情報が不完全である場合に不足している情報を加えること、情報が不要となった場合にそれを除くことをいう。

(4) 「当該保有個人情報の訂正に関して他の法律又はこれに基づく命令の規定により特別の手続が定められているときは、この限りでない」
 保有個人情報の訂正について、他の法律又はこれに基づく命令の規定により特別の手続が定められているときは、当該手続により同様の目的を達成することができるので、その法律又は命令の定めるところによる。

第4章 利用停止
第10 利用停止決定等の審査基準

保護法第39条の規定に基づく利用停止又は不利用停止の決定(以下「利用停止決定等」という。)は、下記により行う。

1 利用停止する旨の決定(保護法第39条第1項)

2 利用停止しない旨の決定(保護法第39条第2項)

(1)利用停止請求書に保護法第37条第1項各号に規定する事項の記載の不備がある場合。ただし、当該不備を補正することができると認められる場合には、原則として、その補正を求めるものとする。

(2)利用停止請求に係る保有個人情報の利用停止をすることにより、当該保有個人情報の利用目的に係る事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に著しい支障を及ぼすおそれがある場合(保護法第38条)



第11 利用停止に関する判断基準

保護法第36条の規定に基づく利用停止請求権に該当するかどうかの判断は、以下の基準により行う。

1 利用停止請求権(保護法第36条第1項)

独立行政法人等における個人情報の適正な取扱いを確保する趣旨で置かれているものであることから、利用停止を請求することができるのは、開示を受けた保有個人情報が、@適法に取得されたものでない、A利用目的の達成に必要な範囲を超えて保有されている、又はB所定の事由に該当しないにもかかわらず利用目的以外の目的で利用又は提供されているのいずれかに該当すると思料するときに限られる。

(1) 「保有個人情報の利用の停止又は消去」の措置の請求(保護法第36条第1項第1号)

ア 次のいずれかに該当すると思料するときに請求することができる。

@ 「第3条第2項の規定に違反して保有されているとき」

一旦特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を保有している場合をいう。なお、保護法第3条第3項に違反して、当初の利用目的と相当の関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて利用目的の変更を行っている場合も、利用停止請求の対象となる。

A 「第5条の規定に違反して取得されているとき」

例えば、暴行、脅迫等の手段により取得した場合等をいう。

B 「第9条第1項及び第2項の規定に違反して提供されているとき」

保護法が許容する限度を超えて利用目的以外の目的で保有個人情報を利用している場合をいう。

イ 「利用の停止」とは、利用の全面的な停止だけではなく、一部停止を含む。また、「消去」とは、当該保有個人情報の全部又は一部を記録媒体から消し去ることをいう。保有個人情報を匿名化することもこれに含まれる。

(2) 「保有個人情報の提供の停止」の措置の請求(保護法第36条第1項第2号)

ア 「第9条第1項及び第2項の規定に違反して提供されているとき」、すなわち、保護法が許容する限度を超えて利用目的以外の目的で保有個人情報を提供している場合に請求することができる。

イ 「提供の停止」とは、爾後の提供行為を停止することをいう。
 なお、本号は、既に提供した保有個人情報の回収についてまで求めるものではない。しかし、違法な提供があったことにかんがみ、提供先と連携をとりつつ、個人の権利利益侵害の拡大防止のため、適切な措置を講じる必要がある。

(3) 「利用の停止、消去又は提供の停止(以下「利用停止」という。)に関して他の法律又はこれに基づく命令の規定により特別の手続が定められているときは、この限りでない」(保護法第36条第1項ただし書)
 保有個人情報の利用停止について、他の法律又はこれに基づく命令の規定により特別の手続が定められているときは、当該手続により同様の目的を達成することができるので、その法律又は命令の定めるところによる。当該保有個人情報が個人情報ファイル簿に掲載されている個人情報ファイルに記録されているときは、利用停止について他の法律又はこれに基づく命令の規定により特別の手続が定められている旨を個人情報ファイル簿に掲載し、公表する。