中期目標等

日本私立学校振興・共済事業団の助成業務に関する第2期中期計画

【沿革】       平成20年3月31日認可
平成25年2月8日変更認可

(序文)

日本私立学校振興・共済事業団法(平成9年法律第48号)第26条の規定により、日本私立学校振興・共済事業団(以下「事業団」という。)が助成業務に関する中期目標を達成するための計画を次のとおり定める。

(基本方針)

(1) 事業団の助成業務は、私立学校の教育の充実及び向上並びにその経営の安定を図るため、補助金の交付、資金の貸付け、受配者指定寄付金の受入れ・配付、学術研究振興資金の交付、経営相談その他私立学校教育に対する援助に必要な業務を総合的かつ効率的に行い、もって私立学校教育の振興に資することを目的としている。

近年、少子化等の影響により学校法人を取り巻く環境は大変厳しいものがある。現在、学校法人は組織の見直し、教育研究面、経営・財政面の改革等の取組を真剣に進めており、具体的な私学振興方策の中核的な担い手である事業団の果たす役割はますます重要なものとなってきている。

このような状況の中で事業団は、今後とも国の基本的な政策目標を踏まえ、私学団体等との連携を図りつつ、学校法人に対する経営支援をはじめとする業務について、その重点化、効率化に努めるとともに一層の充実・強化を図っていく。

なお、助成業務については、国から運営費交付金等の業務運営に係る補助を受けることなく、主として貸付事業の収益によってその経費を賄っており、今後とも自主的・自立的運営を進める。また、業務運営に係る費用を上回る収益が出た場合には、私立学校の教職員の研修事業等に対する助成を行うこととしている。

(2) 中期目標期間中に特に重視すること

@ 補助事業では、私立大学等の現状を踏まえ、補助目的の達成のために効率的な補助金の配分を行う。

A 貸付事業では、私立学校の教育条件の充実向上や学校法人経営の安定化のため、適正かつ有効な貸付を実施する。
また、学校法人の厳しい経営環境を踏まえ、貸付から回収に至る間のリスク管理機能を強化して、事業の安定的かつ効率的な運営を図る。

B 経営支援・情報提供事業では、学校法人自身による経営上の問題点の早期発見や自主的な対応策への早期立案と実行のために学校法人が行う経営改善の取組への支援を強化する。
また、私立学校の教育条件及び経営に関する情報を蓄積するデータベースのさらなる充実を図るとともに、私立学校等のニーズに応じて必要な情報を迅速に提供するため、情報収集提供システムを改善する。

T 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためにとるべき措置

1 私立大学等に対する補助事業

(1) 文部科学省における補助金制度の見直し等の状況を踏まえつつ、効率的な補助金の交付に向け、積極的に文部科学省と協議を行うなど配分方法の適時適切な見直しを行う。

(2) 各大学等に対し、補助金制度への理解を深め、補助金の適正な使用を周知徹底するため、補助金事務に関する手引書を改訂するなど取組を強化する。
また、私立大学等のニーズに応じた内容の研修会を毎年度開催するとともに研修会ごとにアンケートを実施し、理解度を80%以上とする。

(3) 学校法人が行う補助金交付申請手続きの負担軽減を図るため、調査票を簡素化するなど申請方法の改善を行う。

2 学校法人等に対する貸付事業

(1) 学校法人の施設整備計画及び借入ニーズを把握するため、引き続き調査等を行う。
また、学校法人等の資金需要を満たし、安定した貸付財源を確保するため、引き続き私学振興債券の発行など、自己調達資金の拡大に努める。

(2) 学校法人等のニーズ及び民間の融資実態等に対応して、適宜貸付対象となる事業、貸付条件の見直しを行う。

(3) 貸付事業の安定的な運営を図るため、引き続き厳格な与信審査を実施するとともに、貸付金等が確実に回収される態勢の整備に努め、今後の学校法人等の経営の悪化を考慮しつつ、平成24年度末の貸付残高に占めるリスク管理債権* の割合を3.0%以下とする。

@ 貸付先法人の信用格付の変化をモニタリングし、早期に経営状況等の変化を把握するとともに対応策を講じることで滞納の抑制に努める。

A 貸付先法人のうち長期滞納法人、貸出条件緩和法人及び将来不良債権化が予測される法人に対して、外部専門家(弁護士、公認会計士等)の助力を得るなど効果的な手段を講じることにより、債権の保全・回収に努める。

* リスク管理債権とは、破綻先債権額及び6ヶ月以上の延滞債権額に、3ヶ月以上の延滞債権額及び貸出条件緩和債権額を加えた合計をいう。

3 学校法人等に対する経営支援・情報提供事業

(1) 学校法人の経営改善及び安定に向けた取組について積極的に支援するため、経営相談の実施及び必要に応じたフォローアップを行う。
また、個別の学校法人の様々な要望に応じて、きめ細かな経営相談を実施するとともに、その体制の充実を図る。

(2) 経営改善計画の作成支援については、次のような取組を行う。

@ 学校法人が自ら経営上の問題点を見つけられる自己診断チェックリストを提供し、取組課題を早期に認識させ、改善を促す。

A 私学経営等についての専門的な知見を活用しつつ、経営困難な学校法人の経営改善計画の作成支援をするとともに、その進捗状況のフォローアップを行う。

B 経営改善計画を立案・実行する経営者及び専門スタッフの人材育成を支援する。

(3) 私立学校の教育条件及び経営に関する情報の利用を促進するため、ホームページの内容を工夫し、利用者が活用しやすいものになるよう改善を行う。

(4) 私立学校の教育条件及び経営に関する情報を蓄積するデータベースのさらなる充実を図るため、情報収集提供機能を改善する。

@ 電子窓口システムを改善し、学校法人の利便性を向上させるとともに、私学団体等に対しても利用可能なものとする。

A ネットワークを利用した各種情報収集提供システムについて、機能の追加・拡充を行う。

(5) 情報収集・調査結果を研究・分析し、ホームページへの掲載や刊行物としての提供を行うとともに、これらに関する研修会等を実施することにより、学校法人等に対し積極的な情報の提供を図る。

4 受配者指定寄付金事業

(1) ホームページ等を活用して学校法人及び企業等への広報活動を強化するなど、受配者指定寄付金事業の利用促進に向けた取組を行う。
特に、経済団体や地方公共団体にパンフレットを配布するなど、寄付金制度の周知を図る。

(2) 寄付金の受入れから配付までの業務の簡素合理化を進め、学校法人が行う申請手続きの負担軽減を図るため、寄付金業務の電算処理システムを構築する。

5 学術研究振興基金事業

(1) 社会のニーズや学術研究に貢献するテーマを的確に把握し、若手研究者の研究に対する資金交付の充実を図るなど、交付対象事業及び採択基準等の適時適切な見直しを行う。

(2) 国立情報学研究所のデータベースへ研究成果を収録し公開するなど、広く研究者への普及に努める。

(3) 研究課題の採択にあたっては、審査の客観性及び透明性を確保する観点から、引き続き外部委員による選考委員会において研究分野別の審査を行うとともに、採択状況等を公表する。

(4) 学術研究振興資金の適正な使用に資するため、取扱の基準を策定し、学校法人に対し周知徹底を図る。

(5) 経済界、私学関係者等広く一般に学術研究振興基金事業の意義についての理解と協力を得て、基金の増額を図るため、ホームページ等を活用して広報活動を強化する。

6 事業に関する情報開示

(1) 私立大学等経常費補助金、受配者指定寄付金及び学術研究振興資金の交付先等の事業に関する情報については、ホームページ等を活用した積極的な情報開示を行う。

(2) 公表すべき資料については速やかに開示するとともに、原則として開示と同時にホームページに掲載する。

U 業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置

1 効率的な業務運営体制の確立

業務の進展・変化に対応し、効率的かつ機能的な組織運営を推進するため、必要に応じて組織編成、人員配置の見直しを行うとともに、私学振興事業本部と共済事業本部の統合に向けた検討を行う。

2 経費等の縮減・効率化

業務運営に関しては、社会情勢の変化等も勘案しながら、業務の徹底した見直し、効率化を進めるとともに、自己収入の増に努め、平成19年度予算を基準として、中期目標期間中に一般管理費については11%以上、総費用については5%以上の縮減を図る。

3 契約の適正化

事業団の締結する契約については、真にやむを得ないものを除き、原則として一般競争入札によることとする。また、「特殊法人における随意契約の適正化の推進について」(平成19年12月27日付け事務連絡。内閣官房副長官補室から各府省特殊法人担当各位あて。)に基づき、国と同様又はこれに準じた随意契約見直し計画を策定し公表する。なお、随意契約見直し計画の実施状況を含む契約の適正な実施については監事による監査を受けるとともに、その契約状況を公表することとする。

V 予算(人件費の見積もりを含む。)、収支計画及び資金計画

1 収益の確保、予算の効率的な執行、適切な財務内容の実現

(1) 事業年度ごとに収支計画を作成するとともに、当該収支計画に沿った適切な運営に努める。

(2) その他必要な収益を確保し、適切な財務内容の実現を図る観点から、刊行物の販売及び事務所内の会議室等の一般利用を促進し、自己収入の確保に努める。

2 財務内容の管理・運営の適正化

(1) 事業ごとの厳格かつ客観的な評価・分析の実施を促進し、その結果を事業選択や業務運営の効率化に反映させること等により見直しの実効性を確保するとともに、財務内容等の一層の透明性を確保する観点から、引き続き決算情報・セグメント情報について公表内容の充実を図る。
また、財務諸表の適正性及び信頼性を高めるため、自主的に導入した公認会計士の監査を継続する。

(2) 総合的なリスク管理を行うことや債権の適切な回収を図ることなどにより、財務状態の健全性の確保に努めることとし、特に信用リスクについては、適正な貸倒引当金の設定を行う。

3 人件費の削減等

役職員の給与に関し、国家公務員の給与構造改革を踏まえた必要な見直しを進める。

また、平成22年度の人件費を平成17年度(970百万円)と比べて5%以上削減することを目安として所要の取組を行う。ただし、今後の人事院勧告を踏まえた給与改定分については削減対象より除く。なお、人件費の範囲は国家公務員でいう基本給、職員諸手当、超過勤務手当を含み、退職手当は含まない。

4 期間全体に係る予算

別紙1

5 期間全体に係る収支計画

別紙2

6 期間全体に係る資金計画

別紙3

W 短期借入金の限度額

短期借入予定なし

X その他主務省令で定める業務運営に関する事項

1 施設・設備に関する計画

別紙4

2 人事に関する計画

(1) 業務執行の効率化を図るため、各事業の業務量や職員の適性を考慮した人員配置を行う。

(2) 優れた人材を確保するため採用方法の充実を図る。

(3) 計画的に研修を行うなど職員の資質向上を図る。

3 研修等助成に関する計画

私立学校教育の振興上必要と認められる教職員の研修等に対する助成事業の充実を図る。

4 中期目標期間を超える債務負担

なし