中期目標等

日本私立学校振興・共済事業団の助成業務に関する第3期中期計画

平成25年3月28日認可

(序文)

日本私立学校振興・共済事業団法(平成9年法律第48号)第26条の規定により、日本私立学校振興・共済事業団(以下「事業団」という。)が助成業務に関する中期目標を達成するための計画を次のとおり定める。

(基本方針)

(1) 事業団の助成業務は、私立学校の教育の充実及び向上並びにその経営の安定を図るため、補助金の交付、資金の貸付け、受配者指定寄付金の受入れ・配付、学術研究振興資金の交付、経営相談その他私立学校教育に対する援助に必要な業務を総合的かつ効率的に行い、もって私立学校教育の振興に資することを目的としている。

近年の情報化やグローバル化、少子化等の影響により学校法人を取り巻く環境は大変厳しいものがある。現在、学校法人は、多様化する社会情勢に対応すべく、教育改革や管理・運営体制の強化に取り組み、組織の見直し、教育研究面、経営・財政面の改革等を真剣に進めており、具体的な私学振興方策の中核的な担い手である事業団の果たす役割はますます重要なものとなってきている。

このような状況の中で事業団は、今後とも国の基本的な政策目標を踏まえ、私学団体等との連携を図りつつ、学校法人に対する経営支援をはじめとする業務について、その重点化、効率化に努めるとともに一層の充実・強化を図っていく。

なお、助成業務については、国から運営費交付金等の業務運営に係る補助を受けることなく、主として貸付事業の収益によって、人件費を含む全ての事務・事業に係る経費を賄っており、今後とも自主的・自立的運営を進める。また、業務運営に係る費用を上回る収益が出た場合には、私立学校の教職員の研修事業等に対する助成を行うこととしている。

(2) 中期目標期間中に特に重視すること

@ 補助事業では、文部科学省における私学振興政策等を踏まえ、補助金の明確なメリハリある配分を実施することで、私立学校の教育研究力の強化及びガバナンス強化を推進する。

A 貸付事業では、私立学校の教育条件の充実向上や学校法人経営の安定的な運営を支援する観点から、学校法人のニーズを踏まえ、適正かつ有効な貸付を実施する。
また、私立学校における経営環境が一層厳しくなる状況を踏まえ、貸付から回収に至る間のリスク管理機能を強化して、事業の安定的かつ効率的な運営を図る。

B 経営支援・情報提供事業では、今後ますますその重要性が高まると考え、経営改善計画の策定支援など、きめ細かな経営相談、経営層に対する啓発、学校法人の人材育成を支援する等の取組を一層強化する。
また、私立学校の教育条件及び経営に関する情報を収集し、その集計分析結果を学校法人に対して提供するとともに、情報分析・提供の機能を強化する。

T 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためにとるべき措置

1 私立大学等に対する補助事業

(1) 文部科学省における私学振興政策等の状況を踏まえつつ、「大学力」の向上のため、定員充足状況、教育情報・財務情報の公表状況等による増減や、教育研究の質の向上に資する取組等に応じた支援など、明確なメリハリある配分・一層の重点投資を実施することで、私立学校のガバナンスの強化を推進し、経営基盤の強化を促進するため、文部科学省と協議を行い、配分方法の適時適切な見直しを行う。

(2) 私立大学等のニーズを踏まえ、補助金の適正な申請及び使用を周知徹底するため、補助金説明会の充実を図る。

(3) 補助金の適正な執行を確保しつつ、私立大学等の事務負担に配慮し、申請書類等の見直しを行う。

2 学校法人等に対する貸付事業

(1) 学校法人等の資金需要を踏まえ、適宜貸付対象となる事業、貸付条件の見直しを行う。また、貸付財源の安定的確保に努める。

@ 学校法人の施設整備計画及び借入ニーズを把握するため、引き続き調査等を行い、貸付対象となる事業、貸付条件の見直しを適宜行う。
 また、私立学校施設の耐震化を促進するため、長期低利融資や利子助成制度の周知を図る。

A 貸付事業の利用を促進するため、融資に係る体制等の整備を行い、新たな融資先を開拓するなど融資促進活動の充実と強化を図る。

B 貸付事業の安定的運営に考慮しつつ、学校法人の経営上のリスク軽減に資するため、学校法人のニーズを踏まえ、現行融資制度に沿った繰上償還の受入れや返済期間を短縮した貸付けも引き続き活用する。

(2) 貸付事業の安定的な運営を図るため、以下の取組を行う。

@ 与信審査における事業の適切性、資金計画の妥当性、償還の確実性並びに担保物件及び保証人の妥当性の検証を行い、諸データの活用により与信審査の向上に努める。

A 貸付先法人の信用格付によるモニタリングを充実し、早期に経営状況等の変化を把握するとともに必要に応じた対応策を講じることにより滞納の抑止に努める。

B 長期滞納法人、貸出条件緩和法人及び将来不良債権化が予測される法人に対して、弁護士等の助力を得るとともに経営支援部署等との連携を図り、債権の保全・回収に努める。

C 今後の学校法人等の経営上のリスクを考慮しつつ、平成29年度末の貸付残高に占めるリスク管理債権* の割合を3.0%以下とする。
 なお、このリスク管理債権の割合を算定するに当たっては、東日本大震災により格付されたリスク管理債権を除くこととする。

* リスク管理債権とは、破綻先債権額及び6か月以上の延滞債権額に、3か月以上の延滞債権額及び貸出条件緩和債権額を加えた合計をいう。

3 学校法人等に対する経営支援・情報提供事業

(1) 学校法人の経営改善及び教育改革に向けた取組について積極的に支援するため、経営相談の実施及び必要に応じたフォローアップを行うとともに、その体制の強化を図る。

(2) 経営改善計画の作成支援については、次のような取組を行う。

@ 学校法人が自ら経営上の問題点を見つけられる自己診断チェックリスト及び経営判断指標を提供し、取組課題の早期の認識と改善を促す。

A 私学経営等についての専門的な知見を活用しつつ、経営困難な学校法人の経営改善計画の作成支援をするとともに、その進捗状況のフォローアップを行う。

(3) 学校法人の経営改善や教育改革に資するため、私立学校の教育及び経営に関する各種情報の分析・提供の充実を図る。

@ 経営改善や教育改革に資するため、私立学校の教育及び経営に関する各種情報を収集する。

A 収集した情報の分析結果をホームページへの掲載等で提供するとともに、これらに関するセミナーや研修会等を学校法人に対して実施する。

(4) 国公私立大学等が進める大学ポートレート(仮称)構想に連携して、私学版大学ポートレートを事業団で構築する。

(5) 学校法人会計基準の改正などによる各種調査及び既存システム等の変更について、各種情報の収集や分析・提供業務を円滑に行うため適時適切な措置を講じる。

4 受配者指定寄付金事業

   学校法人の外部資金獲得に資するため、受配者指定寄付金制度の周知に努める。
特に幼稚園から高等学校までの学校を設置する学校法人に対して、同制度の利用促進に向けた取組を行う。

5 学術研究振興基金事業

(1) 社会のニーズや学術研究に貢献するテーマを的確に把握し、学術研究振興基金の運用益の現状を踏まえつつ、若手研究者の研究に対する資金交付の充実を図るなど、交付対象事業及び採択基準等の適時適切な見直しを行う。

(2) 経済界、私学関係者等広く一般に学術研究振興基金への理解と協力を得て、基金の増額を図るため、広報活動を強化する。

6 事業に関する情報開示

(1) 私立大学等経常費補助金、受配者指定寄付金及び学術研究振興資金の交付先等の事業に関する情報については、ホームページ等を活用した積極的な情報開示を行う。

(2) 公表すべき資料については速やかに開示するとともに、原則として開示と同時にホームページに掲載する。

U 業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置

1 効率的な業務運営体制の確立

業務の進展・変化に対応し、効率的かつ機能的な組織運営を推進するため、業績評価等を適切に行い、効率的な業務運営体制を構築する。

2 経費等の見直し・効率化

助成業務の安定的運営のため、社会情勢の変化等も勘案しながら、業務の徹底した見直しを進めるとともに、自己収入の増に努め、経費の見直し、効率化に努める。

3 契約の適正化

事業団の締結する契約については、真にやむを得ないものを除き、原則として一般競争入札によることとする。

また、契約の適正な実施については監事による監査を受けるとともに、その契約状況を引き続き公表することとする。

4 内部統制の充実・強化

法令等を遵守しつつ業務を行い、事業団の目的を有効かつ効率的に果たすため、「独立行政法人における内部統制と評価について」(平成22年3月23日独立行政法人における内部統制と評価に関する研究会)及び総務省政策評価・独立行政法人評価委員会から独立行政法人評価委員会等に通知した事項を参考に、内部統制の充実・強化を図る。

V 予算(人件費の見積もりを含む。)、収支計画及び資金計画

1 収益の確保、予算の効率的な執行、適切な財務内容の実現

(1) 事業年度ごとに収支計画を作成するとともに、当該収支計画に沿った適切な運営に努める。

(2) その他必要な収益を確保し、適切な財務内容の実現を図る観点から、刊行物の販売及び事務所内の会議室等の一般利用を促進し、自己収入の確保に努める。

2 財務内容の管理・運営の適正化

(1) 事業ごとの厳格かつ客観的な評価・分析の実施を促進し、その結果を事業選択や業務運営の効率化に反映させること等により見直しの実効性を確保するとともに、財務内容等の一層の透明性を確保する観点から、引き続き決算情報・セグメント情報について公表内容の充実を図る。

      また、財務諸表の適正性及び信頼性を高めるため、自主的に導入した公認会計士の監査を継続する。

(2) 財務状態の健全性を確保するため、債権の適切な回収を図ることなどにより、収支状況の改善に努める。特に信用リスクに備えるため、適正な貸倒引当金の設定を行う。

3 人件費・管理運営の適正化

役職員の給与に関しては、国家公務員給与の見直しの動向も踏まえ、必要な見直しを行う。

また、事業団の機能強化を図るため、業務の執行に必要な人員を確保するとともに組織編成及び人員配置を適宜見直し、組織の効率化に努める。

4 期間全体に係る予算

別紙1

5 期間全体に係る収支計画

別紙2

6 期間全体に係る資金計画

別紙3

W 短期借入金の限度額

短期借入予定なし

X その他主務省令で定める業務運営に関する事項

1 施設・設備に関する計画

別紙4

2 人事に関する計画

(1) 業務執行の効率化を図るため、各事業の業務量や職員の適性を考慮した人員配置を行う。

(2) 優れた人材を確保するため採用方法の充実を図る。

(3) 計画的に研修を行うなど職員の資質向上を図る。

3 研修等助成に関する計画

私立学校教育の振興上必要と認められる教職員の研修等に対する助成事業の充実を図る。

4 中期目標期間を超える債務負担

なし