中期目標等
日本私立学校振興・共済事業団の助成業務に関する中期計画
【沿革】 平成15年10月2日認可
平成16年3月31日変更認可
平成18年3月31日変更認可
(序文)
日本私立学校振興・共済事業団法(平成9年法律第48号)第26条の規定により、日本私立学校振興・共済事業団(以下「事業団」という。)が助成業務に関する中期目標を達成するための計画(以下「中期計画」という。)を次のとおり定める。
(基本方針)
(1) 事業団の助成業務の目的は、私立学校の教育の充実及び向上並びにその経営の安定を図るため、補助金の交付、資金の貸付け、受配者指定寄付金の受入れ・配付、学術研究振興資金の交付、経営相談等の私立学校の教育の援助に必要な業務を総合的かつ効率的に行い、もって私立学校の振興に資することである。
このため、事業団の助成業務においては、各種事業を効率的・効果的に実施し、私立学校のニーズに対応して総合的な私学振興を図っていく。
(2) この中期目標期間中に特に重視することとして、
ア 補助事業では、交付事務の迅速化に努め、学校法人に対する交付決定時期の早期化を図る。
イ 貸付事業では、私立学校の教育条件の充実向上や学校法人の経営の安定化のため、私学経営相談センターと連携しつつ、適正かつ有効な貸付けを実施する。また、貸付けの申込みから貸付金の決定までの期間の短縮に努め、審査基準及び貸付条件(期間、利率、返済方法等)については、必要に応じて適切な見直しを行う。
債権の管理面では、自己査定基準を常に検証し、必要に応じて適切な見直しを行う。
ウ 教育条件・経営情報支援事業では、教育条件及び経営に関する分析能力の一層の向上を図るなど充実強化を図る。
また、これらの分析結果等の各種情報を積極的に提供し、私学の活性化に役立てる。
エ 情報の収集・提供に当たっては、インターネットを介した私学サーバファームシステムを中核とする私学データバンクを構築し、私学等のニーズに応えられるよう機能の充実を図る。
(註)私学サーバファームとは、インターネットを介して学校法人、私学団体、所轄庁、事業団及び一般社会が相互に情報交換できる電子空間(コミュニティの場)である。
オ 業務においてより一層の専門性を高めるため、職員の能力開発や人材育成に努め、業務量及び職員の能力に応じた適正な人員配置等により業務の効率化を図る。
T 業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置
1 共通事項
法人の行う業務について既存事業の徹底した見直し、効率化を進める。
一般管理費及び人件費については、中期目標期間の最後の事業年度において、平成14年度比で
11%以上の効率化を図ること等により、中期目標期間中の毎年度において、対前年度比1%以
上の水準を目標に総費用縮減に努め、事業全体の効率化を図る。
例えば一般競争入札の積極的な導入等により、印刷製本・機関誌刊行等の調達価格を削減するなどの取組みを行う。
2 補助事業
当該事業の目的等
私立大学等の教育条件の維持及び向上並びに私立大学等に在学する学生に係る修学上の経済的負担の軽減を図るとともに、私立大学等の経営の健全性を高め、もって私立大学等の健全な発達に資するため、事業団が国から私立大学等経常費補助金(以下「補助金」という。)の交付を受け、これを大学等を設置している学校法人に交付する。
この補助金の交付事務に当たり申請書類の簡素化及び電算処理方法の改善等により迅速化を図り、学校法人に対する交付決定の時期を早め、中期目標期間中に1月までに行うこととする。
3 貸付事業
当該事業の目的等
私立学校教育の充実及び向上並びに学校法人等の経営の安定のため、長期かつ低利の固定金利で、私立学校の校地、校舎等の施設設備及びその他経営のために必要な資金を私立学校を設置している学校法人等に貸し付ける。
(1) 償還予定法人等に対して、返済期日の1か月前に払込み期日の案内(払込通知書)を送付して返済忘れのないよう注意を喚起し、期日に返済のなかった法人等には直ちに問合わせをするなどして、中期目標期間中の貸付金の回収率を高め財務基盤の健全性を図る。
(2) 延滞となっている貸付金については、当該学校法人等の返済意欲を失わせないよう法人等との連絡を密にし、中期目標期間末において、貸付残高に占めるリスク管理債権の割合を3.5%以下とする。
4 受配者指定寄付金事業
当該事業の目的等
私立学校の教育と研究の振興のため、法人又は個人より寄付金を受け入れ、これを寄付者が指定した学校法人に配付する。
この受配者指定寄付金には、寄付者に対する所得税、法人税における税法上の優遇措置がとられる。
受配者指定寄付金の配付に当たっては、厳正な審査を引き続き実施しつつ、審査手続の見直しなどの事務手続の効率化を図り、1件当たりの平均処理期間を中期目標期間中に5%以上短縮する。
5 学術研究振興基金事業
当該事業の目的等
私立大学等における特色のある学術研究の振興に寄与し、社会的要請の強い学術研究を助成するため、経済界、私学関係者等広く一般から寄付金を受け入れた学術研究振興基金の運用益を、学術研究振興資金として私立大学等が行う学術研究に直接必要な経費に対し交付する。
学術研究振興資金の交付について、厳正な審査を引き続き実施しつつ、電算処理方法の改善等を図り、内示の時期に当たっては中期目標期間中に前年度2月までに行う。
6 教育条件・経営情報支援事業
当該事業の目的等
私立学校の教育条件及び学校法人の経営に関し、情報の収集、調査及び研究分析を行い、その成果を提供するとともに、関係者の依頼に応じて相談、指導・助言を行う。
私学サーバファームを中核とする総合的情報ネットワークの整備に努め、総合的・効率的な私立学校の情報の収集・蓄積・提供を目的とする私学データバンクを構築し、私立学校の経営支援等のために必要な情報提供を図る。
7 情報収集・提供・広報・普及啓発
(1) インターネットや電子メールを積極的に活用することにより、情報収集を迅速化し、事務の効率化を図る。
ホームページにより提供情報の電子化を促進し、広く一般に対する広報活動等の迅速化に努め、事務の効率化を図る。
(2) 電子媒体による入力システムの開発により環境の整備に努めるとともに、学校法人等に対し各種研修会等を通じ当該入力システムの普及を推進し、事務の効率化を図る。
U 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためにとるべき措置
1 補助事業
(1) 補助対象経費や補助金の交付条件等を学校法人に周知するため、全国5会場において補助金事務担当者研修会を毎年度開催するとともに、配分基準等をホームページで公開する。
(2) 文部科学省の交付要綱の見直し等の状況を踏まえつつ、配分方法について見直しを適時適切に行い、補助効果を高めることとする。
(3) 補助金の交付先・交付額等について、毎年度新聞等への発表とともに、ホームページで公開する。
2 貸付事業
(1) 「特殊法人等整理合理化計画」(平成13年12月19日閣議決定)の趣旨も踏まえた貸付制度とするとともに、調達した貸付財源の条件をもとに貸付条件(貸付金利、貸付期間、融資限度額等)の適時適切な見直しを図る。
(2) 貸付制度の周知に当たっては、「私立学校のための融資ガイド」を作成して配付するとともに、貸付けの対象となる事業、貸付条件、貸付額算出シミュレーション及び返済額シミュレーション、その他融資情報をホームページで公開する。
また借入れを希望する学校法人等に対し全国5会場において融資の相談会を毎年度開催する。
(3) 学校法人等からの借入需要の正確な把握に努め、それを踏まえた長期勘定からの資金の融通、私学振興債券及び長期借入金の調達計画により、安定した貸付財源を確保する。
(4) 蓄積した法人情報、財務データの活用等により、学校法人等からの借入申込みに係る書類の提出から貸付金の決定までの平均審査期間を、中期目標期間中に5%以上短縮するとともに、提出書類の簡素化を図る。
3 受配者指定寄付金事業
(1) 募金の取扱いに当たっては、「手引」を作成して配付するとともに、ホームページで公開し、さらにQ&Aの項目を充実させる。
(2) 募金に係る書類の受付から審査決定までの手続の簡素化、例えば募金予定額に係る審査方法の見直し等を図り、平均審査期間を1%以上短縮する。(平成15年度に限る。)
(3) 受配者指定寄付金の配付先の学校法人名及び募金対象事業を決定次第毎月ホームページで公開する。
4 学術研究振興基金事業
(1) 学術研究振興基金の運用益による学術研究振興資金の公募要領及び学術研究計画調書の記入要領等を学校法人に周知するとともに、ホームページで公開する。
(2) 交付に当たっては、客観性及び透明性の確保を図るため、外部の委員により構成される学術研究振興資金選考委員会において次のことを審議する。
@ 採択基準の策定・見直し
A 各研究分野の委員による審査方法の見直し
B 研究の採択に関する重要な事項
(3) 交付対象事業の評価を、各研究分野の選考委員の評価に基づいて適切に行い、翌事業年度以降の研究の採択に際しては、それらの評価を反映させるなどして、効率的・効果的な交付を行う。
(4) 学術研究振興資金の交付を受けて行われた研究の成果を普及させるため、次のことを行う。
@ 「学術研究振興資金研究概要」及び「学術研究振興資金学術研究報告」を毎年度刊行する。また国立情報学研究所「民間助成研究成果概要データベース」に登録し、公開する。
A 学術研究振興資金の交付先、交付額及び研究テーマ等を毎年度「月報私学」に掲載するとともに、ホームページで公開する。
5 教育条件・経営情報支援事業
(1) 私学経営相談センターの機能の充実に努め、経営相談を実のあるものとするため、次のことを行う。
@ 経営改善を必要とする学校法人の依頼に応じて、経営困難に陥る前の学校法人を優先して、融資部、助成部と連携しつつ、財務分析を基礎に教育条件を含む経営診断・経営相談を行う。
A 経営診断・経営相談については、提供する数値データ及び情報等の内容を充実させ、アンケート調査における依頼法人の満足度を中期目標期間中、毎年度70%以上とする。
B 15歳及び18歳人口の減少を背景とした厳しい経営環境のなかで、経営改善に取り組む学校法人の事例等を調査収集し、研究・分析の結果得られた成果を、刊行物として中期目標期間中毎年度発刊する。
C 行政機関の依頼に応じて学校法人の経営分析を行う。
(2) 私学サーバファームを中核とする総合的情報ネットワークの整備により、私学データバンクを構築し、私立学校のニーズに合った情報を提供するため活用度調査を行い、私立学校に必要な情報の提供を図る。
6 情報収集・提供・広報・普及啓発
(1) 公表資料については、担当部署間の連携を図り、最新情報の提供を原則として公表と同時にホームページに掲載する。
(2) 学校法人等に対する情報提供システム(私学データ作成システム、学校法人情報検索システム及び今日の私学財政閲覧システム)の情報の更新に要する期間については、チェック機能の一層の充実を図り、中期目標期間中にデータのチェック完了後2か月以内に更新する。
V 予算(人件費の見積もりを含む。)、収支計画及び資金計画
1 収益の確保、予算の効率的な執行、適切な財務内容の実現
業務運営に必要な収益を確保する観点から、例えば刊行物販売等新たな収入源の確保を図る。
2 財務内容の管理・運営の適正化
総合的なリスク管理を行うことや債権の適切な回収を図ることなどにより、財政状態の健全性の確保及び収支状況の改善を図る。特に信用リスクについては、金融検査マニュアルに準じた自己査定基準による厳格な管理を実施する。
3 人件費の削減
平成22年度の人件費を平成17年度(970百万円)と比べて5%以上(平成19年度までに概ね0.5%)削減することを目安として所要の取組を行う。
ただし、今後の人事院勧告を踏まえた給与改定分については削減対象より除く。なお、人件費の範囲は国家公務員でいう基本給、職員諸手当、超過勤務手当を含み、退職手当は含まない。
4 期間全体に係る予算
5 期間全体に係る収支計画
6 期間全体に係る資金計画
W 短期借入金の限度額
1 短期借入予定なし
X その他主務省令で定める業務運営に関する事項
1 施設・設備に関する計画
2 人事に関する計画
(1) 方針
@ 職員の専門的な能力の向上を図るため、実務的な研修や専門的研修を実施する。
A 業務執行の効率化を図るため、業務委託等を検討する。
B 人員配置の実施に当たっては、業務量及び職員の能力に応じ適正かつ計画的に行う。
C 職員採用に当たっては、原則として文部科学省文教団体職員採用試験を活用し、優秀な人材の確保を図る。
(2) 人員に係る指標
常勤職員については、その職員数の抑制を図る。
(参考1)
@ 期初の常勤職員数
105人
A 期末の常勤職員数の見込み 103人以内
(参考2)
中期目標期間中の人件費総額見込み
5,351百万円
ただし、上記の額は、平成15年度の給与ベースによる役員給与並びに職員基本給、職員諸手当、超過勤務手当、福利費及び退職給与金に相当する範囲の費用である。
3 中期目標期間を超える債務負担
なし