中期目標等
日本私立学校振興・共済事業団の助成業務に関する平成22年度計画
平成22年3月31日届出
日本私立学校振興・共済事業団法(平成9年法律第48号)第26条の規定により、平成20年3月31日付け19文科高第886号で認可を受けた日本私立学校振興・共済事業団(以下「事業団」という。)の助成業務に関する中期計画に基づき、平成22年度の業務運営に関する計画を次のとおり定める。
T 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためにとるべき措置
1 私立大学等に対する補助事業
(1) 補助金の適切な配分を行うため、定員充足状況に応じた減額など増減率表等の見直しを行うとともに、地方中小規模校に対し所要の配慮を行う。また、未来経営戦略推進経費の中間評価を実施する。
(2) 各大学等に対し、補助金制度への理解を深め、補助金の適正な使用を周知徹底するため以下の取組を行う。
@ 参加者の習熟度やニーズ等に応じたコース別の研修会を実施する。なお、研修内容の理解度等に関するアンケートを実施し、理解度を80%以上とする。
A 補助金事務に関する手引書の改訂に着手する。
B 文書による注意喚起を徹底する。
C 事業の実施状況について大学等に対し実地調査を行う。
(3) 学校法人が行う補助金交付申請手続きの負担軽減のため、調査票の簡素化を進めるとともに、電子窓口システムのさらなる改善を図る。
2 学校法人等に対する貸付事業
(1) 貸付事業の利用促進を図るとともに、安定した貸付財源を確保する。
@ 利用促進方策として次のことを行う。
ア 借入希望のアンケート調査などにより、今後の借入ニーズを把握する。
イ 施設整備計画がある学校法人等を積極的に訪問し、貸付事業の利用促進を図る。
ウ 平成22年度以降に借入を希望または検討している学校法人等に対し、個別の相談会や融資制度の説明会を実施する。また、平成22年度の新規融資分まで、利子助成制度が拡充されていることから、特に耐震化事業に関する融資制度の周知を図る。
エ ホームページ等を活用して貸付制度の周知を図る。
A 事業計画900億円の財源を確保するとともに、貸付金残高に占める自己調達資金の拡大に努める。
(2) 学校法人等のニーズに対応して、適宜貸付対象となる事業及び貸付条件の見直しを行う。
(3) 平成22年度末の貸付残高に占めるリスク管理債権* の割合を3.0%以下とする。
@ 貸付先法人の信用格付の変化をモニタリングし、早期に経営状況等の変化を把握する。
A 返済期日に入金のない貸付先法人には、電話、面談、実地調査、文書などによる督促を迅速に行い、3ヶ月以上の延滞債権の発生を抑え、早期の滞納解消・回収に努める。
B 貸付先法人のうち滞納法人、貸出条件緩和法人及び近い将来不良債権化が予測される法人に対して、事業団の経営支援部署等と連携するとともに、必要に応じて外部専門家(弁護士、公認会計士等)の助力を得るなど効果的な手段を講じることにより、債権の保全・回収に努める。
* リスク管理債権とは、破綻先債権額及び6ヶ月以上の延滞債権額に、3ヶ月以上の延滞債権額及び貸出条件緩和債権額を加えた合計をいう。
3 学校法人等に対する経営支援・情報提供事業
(1) 学校法人の経営改善及び安定に向けた支援として、次のような取組を行う。
@ 学校法人の経営状態について、経営判断指標等により定期的にモニタリングを行うとともに、経営相談、講師派遣、面談、電話など様々な手段を活用して質問への回答、事例の紹介、経営改善方策の提案等を積極的に行う。
また、学校法人からの相談内容について専門的知見を要する事例が増加していることから、弁護士・公認会計士等の外部有識者の一層の助力を得て対応を行う。
A 経営困難な学校法人に対して、必要に応じて文部科学省と連携して積極的に経営相談を実施する。
B 経営相談の実施体制を充実するため、経営相談マニュアルの内容について不断の見直しを行い、必要な改善を行う。
また、経営相談を担当する職員の資質向上を図るため内部研修等を充実する。
(2) 経営改善計画の作成支援及び進捗状況のフォローアップについては、次のような取組を行う。
@ 学校法人が自ら経営上の問題点を見つけられる自己診断チェックリストの見直しと充実を図る。
A 経営困難な学校法人が数値目標と期限を明確にした抜本的な経営改善計画を作成するにあたり、専門的知見を活用しつつそれを支援するとともに、定期的なヒアリング等で進捗状況のフォローアップを行う。
B 経営者及び専門スタッフの人材育成を支援するため、経営改善計画を策定するための教材(基礎知識編・ケーススタディ編)の見直しと充実を図る。
(3) 利用者が活用しやすいものになるようホームページのリニューアルを実施し、更新情報の拡充及びサイトマップの追加等の改善を行う。
(4) 私立学校の教育条件及び経営に関する情報を蓄積するデータベースのさらなる充実を図るため、情報収集提供機能を改善する。
@ 私学経営情報センターでこれまで実施した調査等により収集された文字情報について、学校法人が利用しやすいよう整理を行い、データベース化を図る。
A ネットワークを利用した「私学データ作成システム」について、分析項目を追加するなど内容を充実する。
また、各種研修会等において説明を行い、当該システムの利用促進を図る。
B 政府機関統一基準に準拠した「情報セキュリティポリシー」に基づき、情報セキュリティの維持に取り組む。
(5) 情報収集・調査結果を研究・分析し、ホームページへの掲載や刊行物としての提供を行うとともに、これらに関する研修会等を実施することにより、学校法人等に対し積極的な情報の提供を図る。
@ 地方において、学校法人の理事長、大学・短期大学・高等学校の学長・校長等を対象とした財務の見方セミナーや経営相談会を実施する。
A 学校法人の経営改善に資するため、以下の刊行物を発行する。
ア 今日の私学財政
イ 私立大学・短期大学等入学志願動向
ウ 私学経営情報
・大学・短期大学・高等学校の教育条件や経営の改善の具体的事例を現地訪問等により詳細に調査し、事例集として刊行する。
4 受配者指定寄付金事業
(1) ホームページ、広報誌等を活用して、引き続き受配者指定寄付金事業の利用促進に向けた広報活動の強化に努める。
また、寄付金制度の周知のためのパンフレットを作成し、経済団体や都道府県主管課等に配布する。
(2) 寄付金の受入れから配付までの業務の簡素合理化を進めるため、関連部署と連携して寄付金業務電算処理システムの仕様を作成する。
5 学術研究振興基金事業
(1) 社会のニーズや学術研究の発展に貢献するテーマの把握に努め、より効果的な学術研究振興資金の交付を行う。
また、優れた若手研究者の研究に対する資金は、平成21年度の対象分野の見直しに基づき、理工・農学系の研究に対して交付する。
(2) 研究成果の積極的な公開に努めるとともに学術研究振興資金制度の周知を図る。
@ 国立情報学研究所のデータベースへ研究成果を収録するほか、平成21年度の「研究報告書」を作成・配布する。
A 学術研究振興資金の公募要領等をホームページ等に掲載する。
(3) 選考審査の客観性及び透明性を確保し、採択状況等を公表する。
@ 採択にあたっては、客観性及び透明性の確保を図るため、外部委員による選考委員会において研究分野別の審査を行う。
A 採択基準、応募状況・採択状況をホームページ等に掲載する。
(4) 学術研究振興資金の適正な使用に資するため、学校法人に対し、引き続き取扱基準の周知徹底を行う。
(5) 経済界、私学関係者等広く一般に学術研究振興基金事業への理解と協力を得るため、ホームページの活用、募金趣意書の作成・配布などの広報活動の強化に引き続き努める。
6 事業に関する情報開示
(1) 私立大学等経常費補助金、受配者指定寄付金及び学術研究振興資金の交付先等の事業に関する情報については、ホームページ等を活用した積極的な情報開示を行う。
(2) 法令で公表が義務付けられている資料のほか、公表すべき資料については、速やかに開示するとともに、原則として開示と同時にホームページに掲載する。
U 業務運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置
1 効率的な業務運営体制の確立
私学振興事業本部と共済事業本部を一体的に運営する観点に立ち、効率的かつ機能的な組織運営を推進するため、必要に応じて組織編成、人員配置の見直しを行う。
2 経費等の縮減・効率化
中期計画の「平成19年度予算を基準として、中期目標期間中に一般管理費については11%以上、総費用については5%以上の縮減を図る」ことを踏まえ、予算の計画的、効率的執行により経費の節約を図り、平成19年度予算を基準として平成22年度予算において一般管理費については6.6%以上、総費用については3%以上の縮減を図る。
なお、削減の対象となる総費用には、配付寄附金、交付補助金及び雑損は含まない。
3 契約の適正化
事業団の締結する契約については、真にやむを得ないものを除き、原則として一般競争入札によることとする。また、「特殊法人における随意契約の適正化の推進について」(平成19年12月27日付け事務連絡。内閣官房副長官補室から各府省特殊法人担当各位あて。)に基づき、国と同様又はこれに準じた随意契約見直し計画を策定し公表する。なお、随意契約見直し計画の実施状況を含む契約の適正な実施については、監事による監査を受けるとともに、その契約状況を公表することとする。
さらに、「契約の適正な執行に関する行政評価・監視結果に基づく勧告」(平成20年12月16日付け総評評第157号。総務大臣から文部科学大臣あて。)に基づき、規程などの整備を行うことにより、契約の適正化の一層の推進を図る。
V 予算(人件費の見積もりを含む。)、収支計画及び資金計画
1 収益の確保、予算の効率的な執行、適切な財務内容の実現
(1) 収支計画を作成し、当該収支計画に沿った適切な運営に努める。
(2) 刊行物の販売収入及び事務所内会議室貸与収入等の自己収入の確保に努める。
2 財務内容の管理・運営の適正化
(1) 事業ごとの厳格かつ客観的な評価・分析の実施を促進し、その結果を予算配分や業務運営の効率化に反映させる。
決算情報・セグメント情報の公表内容の充実を図る観点から、平成21事業年度決算内容のダイジェスト版を作成し、公表するとともに、自主的に導入した公認会計士による監査を実施し、平成21事業年度独立監査人による監査報告書を公表する。
(2) 総合的なリスク管理を行うことや債権の適切な回収を図ることなどにより、財務状態の健全性の確保に努めることとし、特に信用リスクについては、適正な貸倒引当金の設定を行う。
3 人件費の削減等
中期計画において「平成22年度の人件費を平成17年度(970百万円)と比べて5%以上削減することを目安として所要の取組を行う」としていることを踏まえ、最終年度である今年度については、特に超過勤務手当の抑制を中心として計画の達成を図る。
4 予算
5 収支計画
6 資金計画
W 短期借入金の限度額
短期借入予定なし
X その他主務省令で定める業務運営に関する事項
1 施設・設備に関する計画
なし
2 人事に関する計画
(1) 人事異動基本方針に基づき、職員の適性、各部署の業務の円滑な執行、当面の課題への取組などを十分考慮した人員配置を行う。
(2) 文部科学省文教団体職員採用試験の活用のほか、多様な方法による優れた人材の採用方法について検討する。
(3) 今後の事業団に必要な人材を育成するという観点に立った工夫を加えつつ、研修実施要領に基づき、一般研修として管理職研修、係長・主任研修、新入職員研修、人事院式監督者研修等を、専門研修として実務研修、派遣研修を引き続き実施する。
3 研修等助成に関する計画
私立学校教育の振興上必要と認められる教職員の研修等に対する助成事業の充実を図る。