ごあいさつ

 
                理事長

                        福 原 紀 彦   

 

 

 日本の近代的な学制が施行されて150年が経過し、この間、私立学校は、わが国の公教育を支えるうえで大きな役割を果たしてまいりました。そして、これからも、将来の社会を担う人材の育成と諸科学の振興を担う私立学校の社会的意義は、益々大きくなるものと思われます。それは、私立学校が、社会のさまざまなリソースを活用して、歴史と伝統に支えられた建学の精神のもとに個性と多様性を発揮し、教育と研究を継続発展させ、人類の持続可能性を支え続けているからにほかなりません。

 今日、新型コロナウイルス感染症のたびたびの蔓延や、気候変動、国際紛争等により、人類は大きな危機に直面しています。日本の社会では、少子高齢化が進行するなかで、電子(デジタル)情報の利活用によって資本化とグローバル化が高度に進展し、また、DXの名のもとに生活や活動の新しい様式が普及し、各種組織や社会構造全体が大きな変革期を迎えています。私立学校についても、昨今の私立学校法の改正をはじめとする制度改革が進行しており、それらは各種の私立学校を設置する学校法人のガバナンス強化や組織の強靱化を促し、私立学校の社会的価値を向上させるためのものということができます。

 日本私立学校振興・共済事業団は、私立学校の教育の充実及び向上並びにその経営の安定並びに私立学校教職員の福利厚生を図るため、補助金の交付、資金の貸付けその他私立学校教育に対する援助に必要な業務を総合的かつ効率的に行うとともに、私立学校教職員共済法(昭和28年法律第 245号)の規定による共済制度を運営し、もって私立学校教育の振興に資する機関です。また、助成業務を拡充するため、政府の出資を受けており、令和5年3月末現在の資本金は1,086億7,786万 3,000円となっています。

 私学事業団は、社会の負託に応えて私立学校の果たす機能の充実を図ることを責務として、私立学校の活動に対する「助成業務」と、私立学校で働く教職員の福利厚生の向上のための「共済業務」を遂行しています。「助成業務」では、@補助事業、A貸付事業、B助成事業、C寄付金事業(受配者指定寄付金、若手・女性研究者奨励金、学術研究振興基金)、D減免資金交付事業、E経営支援・情報提供事業により、私立学校教育を支えるために必要な支援を総合的かつ効率的に行っています。「共済業務」では、@短期給付(健康保険)事業、A年金等給付事業、B福祉事業(保健・医療・宿泊・貯金・貸付け等)を運営しています。現下の厳しい社会情勢にあっても、効果的な補助金の配分、長期・低利融資の実施、寄付金募集活動の支援、経営支援・相談、授業料等減免に対する支援などの充実・強化に努め、私学共済の加入者・被扶養者・年金受給者の方々の福利厚生の向上に寄与いたします。

 未来を拓く人を育むこと、そのことに尽力する人々を支えることが大切であるとの価値観を共有し、皆さまのご理解とご協力を得て、私立学校の振興と私立学校教職員の福利厚生向上に努めて参ります。引き続き、日本私立学校振興・共済事業団の事業活動に対しまして、温かく力強いご理解とご協力を賜りますよう、心からお願い申し上げます。